大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)361 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人浅沼澄次の上告趣意一について。

論旨は、第一審判決において本件窃取の自転車を一万七千円位と不当に高価に認

定したことは法の適正な運用を怠つたもので憲法の精神に反するし、第二審判決が

そのまゝこれを肯定したこともまた憲法の精神に添わないものであるというのであ

るが、具体的に憲法の如何なる条規に反するかの主張が明らかでないので刑訴法四

〇五条に定める上告の事由に当らない。

同二について。

論旨は、被告人の供述のみを採つて前科の事実を認めたことは憲法の精神を表現

した刑訴法三一九条二項に違反するというのである。しかし、憲法三八条三項は、

或る犯罪につき被告人を有罪とするには自白のほかに他の証拠を必要とする趣旨を

明らかにしたものであり(昭和二三年(れ)第一四二六号同二四年一〇月五日当裁

判所大法廷判決)また被告人の前科は罪となるべき事実ではないから必ずしも証拠

によりこれを認めた理由を示す必要はないのである(昭和二三年(れ)第七七号同

二四年五月一八日当裁判所大法廷判決)。これら当裁判所大法廷の判決によれば論

旨の理由ないことは明らかであるから採用することはできない。

よつて刑訴法四〇八条一八一条に従い主文の通り判決する。

以上は当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

昭和二五年一〇月一〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

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裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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